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国民年金法 障害基礎年金の支給停止及び失権

障害基礎年金の支給停止

障害補償による支給停止(法36条1項)

障害基礎年金は、その受給権者が当該傷病による障害について、

労働基準法の規定による障害補償を受けることができるときは、

6年間、その支給を停止する。





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障害基礎年金と同一の支給事由により労働基準法の規定による障害補償が

支払われるときは、障害基礎年金は、6年間、支給停止となる。


分割補償

使用者は、支払能力のあることを証明し、補償を受けるべき者の同意を

得た場合においては、労働基準法第77条〔障害補償〕又は第79条

〔遺族補償〕の規定による補償に替え、平均賃金に別表第3に定める

日数を乗じて得た金額を、6年にわたり毎年補償することができる。


障害の程度による支給停止(法36条2項、3項)

1、障害基礎年金は、受給権者は障害等級に該当する程度の

障害の状態に該当しなくなったときは、その障害の状態

に該当しない間、その支給を停止する。ただし、その支給を

停止された障害基礎年金の受給権者が疾病にかかり、又は負傷し、

かつ、その傷病(当該障害基礎年金の支給事由となった障害に

係る傷病の初診日後に初診日があるものに限る。以下1のおいて

同じ。)に係る初診日において第30条第1項各号〔被保険者等要件〕

のいずれかに該当した場合であって、当該傷病によりその他障害の

状態にあり、かつ、当該障害に係る障害認定日以後65歳に達する日

の前日までの間において、当該障害基礎年金の支給事由となった

障害とその他障害(その他障害が2以上ある場合は、すべての

その他障害を併合した障害)とを併合した障害の程度が障害等級

に該当するに至ったときは、この限りでない。

2、第30条第1項ただし書〔保険料納付要件〕の規定は、1ただし書の

場合に準用する。


障害基礎年金が障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなった

ために支給停止されている場合であっても、その後、その他障害との

併合により障害等級に該当するに至った場合には、支給停止が解除

される。


20歳前傷病による障害基礎年金の支給停止

20歳前傷病による障害基礎年金は、国民年金制度加入前(保険料を

納付していない期間)の傷病に係る障害について給付を行うため、

本人についての所得制限等、他の障害基礎年金とは異なる

支給停止事由も規定されています。


併給等による支給停止(法36条の2、1項)

第30条の4〔20歳前傷病による障害基礎年金〕の規定による

障害基礎年金は、受給権者が次の(1)から(4)のいずれかに

該当するとき(2及び3に該当する場合にあっては、厚生労働省令

で定める場合に限る。)は、その該当する期間、その支給を

停止する。

(1)恩給法(他の法律において準用する場合を含む。)に基づく

年金たる給付、労働者災害補償保険法の規定による年金たる給付

その他の年金たる給付であって政令で定めるものを受けることが

できるとき。

(2)刑事施設、労役場その他これらに準ずる施設に拘禁されているとき。

(3)少年院その他これに準ずる施設に収容されているとき。

(4)日本国内に住所を有しないとき。



1、上記(1)の例外

上記(1)の年金たる給付が、その全額につき支給停止されているときは、

その支給停止理由が、労働基準法の規定による障害補償や遺族補償

を受けることができるためである場合を除き、障害基礎年金は

支給停止されない。(法36条の2、2項)


2、調整の対象となる給付

上記1に係る年金たる給付であって政令で定めるものとは、恩給法による

年金たる給付、労働者災害補償保険法による年金たる保険給付の他、

船員保険法による年金たる保険給付、国家公務員災害補償法による

年金たる補償、地方公務員災害補償法による年金たる補償などである。

(令4条の8)

年金たる給付が、恩給法による増加恩給、公務扶助料等の給付であって、

障害又は死亡を事由として大尉以下の旧軍人又はその遺族に支給されるもの

であるときは、当該障害基礎年金は支給停止されない。(法36条の2、5項、

令5条の3)


3、刑事施設に拘禁されている場合等における障害基礎年金の支給停止

刑事施設に拘禁されている場合等(上記(2)と(3))に障害基礎年金が

支給停止となるのは次の場合である。

(1)懲役、禁錮若しくは拘留の刑の執行のため若しくは死刑の言渡しを

受けて刑事施設に拘置されている場合若しくは留置施設に留置されて

懲役、禁錮若しくは拘留の刑の執行を受けている場合、労役場留置の

言渡しを受けて労役場に留置されている場合又は監置の裁判の執行

のため留置場に留置されている場合

(2)少年法第24条の規定による保護処分として少年院に送致され、

収容されている場合又は売春防止法第17条の規定による補導処分として

婦人補導院に収容されている場合

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平成16年の法改正により、刑事施設等に収容等されている場合であっても

未決拘留中の者(判決が確定していない者)については、有罪が確定

するまでは、支給停止しないこととされた(平成17年1月1日施行)。


他の制度の給付との調整

20歳前傷病による障害基礎年金の額及び上記(1)の年金たる給付

の額が、いずれも71.2万円を超えるときは、当該障害基礎年金

のうちその超える額に相当する部分については支給停止される。

また、障害基礎年金の額が、71.2万円以上であり、かつ、上記(1)

の年金たる給付の額を超えるときは、当該年金たる給付の額に相当する

部分が支給停止される。(法36条の2、3項、4項、令5条の2)


所得による支給停止(法36条の3,1項)

第30条の4〔20歳前傷病による障害基礎年金〕の規定による障害基礎年金

は、受給権者の前年の所得が、その者の扶養親族等の有無及び数に応じて、

政令で定める額を超えるときは、その年の8月から翌年の7月まで、

政令で定めるところにより、その全部又は2分の1(第33条の2第1項〔子の加算額〕

の規定によりその額が加算された障害基礎年金にあっては、その額から

同項の規定により加算する額を控除した額の2分の1)に相当する部分の

支給を停止する。


所得限度額

受給権者の前年の所得が、単身世帯の場合、360.4万円を超え462.1万円以下で

あるときは、その年の8月から翌年の7月まで2分の1相当額が支給停止され、

所得が462.1万円を超えるときは、その年の8月から翌年の7月まで全額支給停止

される。(令5条の4、令6条)


所得による支給停止を行わない場合等

1、震災、風水害、火災その他これらに類する災害により、自己または

所得税法に規定する控除対象配偶者若しくは扶養親族の所有に係る住宅、

家財又は政令で定めるその他の財産につき被害全額(保険金、損害賠償金等

により補充された金額を除く。)がその価格のおおむね2分の1以上

である損害を受けた月から翌年の7月までの20歳前傷病による

障害基礎年金については、その損害を受けた年の前年又は前々年

における当該被災者の所得を理由とする法36条の3の規定による

支給の停止は、行わない。


2、1の規定により20歳前傷病による障害基礎年金の支給の停止が

行われなかった場合において、当該被災者の当該損害を受けた年の

所得が、その者の扶養親族等の有無及び数に応じて、法36条の3第1項に

規定する政令で定める額を超えるときは、当該被災者に支給する

20歳前傷病による障害基礎年金で、1に規定する期間に係るものは、

当該被災者が損害を受けた月にさかのぼって、その支給を停止する。


障害福祉年金から裁定替えされた障害基礎年金の支給停止

障害基礎年金から裁定替えされた障害基礎年金については、

20歳前傷病による障害基礎年金と同様の支給停止が

行われるほか、旧被用者年金各制度からの年金給付の

支給を受けることができるときにも支給が停止される。


失権(法35条)

障害基礎年金の受給権は、第31条第2項〔併合認定〕

の規定によって消滅するほか、受給権者は次の

(1)から(3)のいずれかに該当するに至ったときは、

消滅する。

(1)死亡したとき

(2)厚生年金保険法第47条第2項に規定する障害等級

に該当する程度の障害の状態にない者が、65歳に達したとき。

ただし、65歳に達した日において、障害厚生年金の障害等級

に該当する程度の障害の状態に該当しなくなった

日から起算して障害厚生年金の障害等級に該当する程度の

障害の状態に該当することなく3年を経過していない

時を除く。

(3)障害厚生年金の障害等級に該当する程度の

障害の状態に該当しなくなった日から起算して

障害厚生年金の障害等級に該当する程度の障害の状態に

該当することなく3年を経過したとき。

ただし、3年を経過した日において、当該受給権者が65歳未満

であるときを除く。


失権事由

障害基礎年金の受給権は、受給権者が次のいずれかに

該当するに至ったときに消滅します。

1、併合認定により、前後の障害を併合した障害の程度

による障害基礎年金の受給権を取得したとき。

2、死亡したとき。

3、次のいずれか遅い方きたとき。

(1)障害厚生年金の障害等級(3級以上)に該当する程度の障害の

状態に該当しなくなった日から起算して障害厚生年金の障害等級

(3級以上)に該当する程度の障害の状態に該当することなく

3年を経過したとき。
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